【奨励賞】(日揮賞)(学術部門)

ゼオライトの結晶化メカニズムの解析と新規水熱合成法の開発

 

津野地 直 殿(鳥取大学工学部 講師)

 津野地氏は,石油化学プロセス,自動車排ガス浄化,温暖化ガス回収などの様々な分野で触媒や吸着材として用いられるゼオライトについて,合成法開拓,結晶化メカニズム解析,構造解析,材料性能評価が一体となった研究において,優れた業績を挙げた。
 ゼオライト結晶化メカニズム解析は,重要な研究領域の一つである。しかしながら,既存の研究は,モデル的な研究が多く,実用されるゼオライト合成条件に比較して,低温,低濃度など温和な条件で実施されており,そのようなメカニズム解析で見出された知見が,ゼオライトの機能,特性の制御に直接貢献しているとは言い難かった。
 津野地氏は,機能,特性の設計に資することのできる実践的な研究アプローチが必要であると考え,排ガス浄化触媒を触媒性能評価対象として,異なる手法でゼオライトを合成し,それぞれの合成手法において,分子レベルの中間体情報を含んだ結晶化メカニズムの解析,合成されたゼオライトの構造解析,およびその触媒特性を一体的に取得し,高性能触媒の設計指針を与えた。
 具体的には,異なる結晶化過程を与えるため,多段階の組成調整を行う段階的ゲル調製法,特殊な出発Si,Al源および複数の有機カチオン種をゼオライト細孔の鋳型としたマルチテンプレート法を開発した。メカニズム解析においては,エレクトロスプレーイオン化質量分析法を取り入れ,合成中間体の解析法を開発した。これにより,従来では極めて乏しかった液相の合成中間体の分子レベルの情報をアルミノシリケートオリゴマーの構造分布から取得することが可能となり,ゼオライト結晶化メカニズム解明を発展させた。また,このような研究から設計された触媒が,排ガス浄化触媒において,高い耐水熱安定性を示すことを明らかにした。
 以上の成果は,液相合成中間体の解析を含む結晶化メカニズム解析を中心に大きく貢献し,工業上重要なゼオライトの設計合成に対して新たな指針を示した。今後のカーボンニュートラルな化学プロセスにも大いに寄与するものである。よって,津野地氏の業績は本会表彰規程第12条1項に該当すると認められる。

 

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