論文賞

共含浸法およびゾル‐ゲル法により調製したアルミナ担持Pt触媒上でのn-ブタン脱水素反応におけるSnの添加効果

 

菊池 伊織 殿+1), 大嶋 正明 殿, 黒川 秀樹 殿, 三浦 弘 殿+2)(埼玉大学大学院理工学研究科)
(所属は論文発表時のものです)

 高分子原料として重要なブタジエンの製造において,現状のナフサクラッキングを代替しうる有力な方法としてn-ブタンの触媒的脱水素反応が挙げられる。本反応を含めたアルカン脱水素反応においては,第二成分を添加した担持Pt触媒が有効であることが知られており,第二成分としてSnが代表的である。一方,モノオレフィン製造に比べ過酷な反応条件が必要な本反応では特に高い活性,安定性が必要となる。この際,Snを過剰に担持すると表面Pt種の被覆を引き起こすほか,焼成時のSnの飛散が生じる問題がある。
 本論文において菊池らは,Pt-Sn触媒におけるSn添加効果をより顕著に発現させることを目的とし,調製に際して担体上にSnが広く分布するようゾル‐ゲル法によりSnO2-Al2O3担体を調製し,さらにPtを含浸する手法を開発した。Pt-Sn二元系触媒は,本反応に限らず広く用いられる重要な触媒であるが,通常は含浸法やPtとSn種との表面反応を利用する方法により調製され,本論文における調製法は新規のものである。本触媒は通常の共含浸法によるPt-Sn/Al2O3触媒に比べ高い活性(転化率1.37倍),ブテン収率(1.45倍),ブタジエン収率(1.10倍)を示した。CO吸着,XPS,XRDによるキャラクタリゼーションにより,共含浸法による触媒に比べ,SnO2-Al2O3担持触媒は過剰なSnによるPt金属表面の被覆が抑制され,高分散の活性Pt3Sn粒子が形成するとともに金属SnやSn過剰PtSn2相の形成が抑制されることを明らかにした。
 本論文では,触媒の新規調製法とその高い性能を報告し,さらにその要因となる表面構造を解析し明らかにしている。これらの成果は,ブテンやブタジエンの効率的製造法の開発につながり,さらに広く石油化学用触媒の発展に寄与すると考えられる。よって,本論文は本会表彰規程第6条に該当するものと認められる。

[対象論文]J. Jpn. Petrol. Inst. , 55, (3), 206 (2012).

+1)(現在)新日鉄住金化学(株)
+2)(現在)埼玉大学 名誉教授

 

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