石油豆知識[原油]
原油(その1.原油の分類) | 原油(その2.原油の硫黄分について) |
原油(その3.統計と将来予測) | 石油豆知識 用語一覧へ |
原油(その1.原油の分類)
原油の分類として,一般にAPIボーメ度(API度)が使われている。比重との関係式は,
API度 =(141.5 / 華氏60度の比重*)−131.5である。 API度と比重との覚えやすい関係を紹介すると,35°APIのとき比重はちょうど0.850であり, APIが2°ずれるごとに比重がおおよそ0.01ずつ変化する。これは微分値からも説明できる。 たとえば33°APIのとき0.860,31°→ 0.871,29°→ 0.882であり,反対に37°→ 0.840,39°→ 0.830, 41°→ 0.820,43°→ 0.811,45°→ 0.802となり,29〜45°APIにわたってほぼこの関係が成り立っている。 原油の比重は一般に0.80〜0.95の範囲にあり,このままでは細かい数値分類になるので, 2桁程度の整数分類になるように約200倍の目盛りを考案・工夫したのであろう。 このAPI度により原油の蒸留曲線も決まるので,原油の種類を次のように分類している。26°未満を超重質原油, 26〜29.99°を重質,30〜33.9°を中質,34〜38.99°を軽質そして39°以上を超軽質原油と呼ぶ。 ちなみに沸点が350℃以上の残油量とAPI度との関係を示すと,26°で53%,30°→ 48%,34°→ 43%,39°→ 35%である。 この他UOP特性係数(K )と呼ぶものがあり,K = (Tb )<<>SUP>1/3/Sで表される。 ここで,Tb :ランキン温度( °F + 460:華氏目盛りでの絶対温度 )で表した平均沸点, S:華氏60度の比重とする。 この式より,原油の種類が決まるとどの留分でも一定の数値を示すので原油の性状評価に使われる。 この値が12〜12.5:パラフィン基油,11.5〜12.0:中間基油,11.0〜11.5:ナフテン基油と呼んでいる。 (注)* 60 / 華氏60度の比重(S)と15 / 4℃の比重(C)の差は,S − C = 約0.0005である。 |
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原油(その2.原油の硫黄分について)
世界の原油は硫黄分により,3種類に分類することができる。硫黄分の多いAグループとして中近東およびその近傍のエジプトと
カスピ海沿岸ならびにメキシコ原油のグループ。次に中間のBグループとしてベネズエラおよびエジプトの隣のリビア原油。
3番目の硫黄分の非常に少ないCグルーブとして,残りのアフリカ,東アジア,ロシア,アメリカ,
ヨーロッパ原油の3種類*である。 またどの原油についても,沸点が高くなるにつれて硫黄の含有量が増え,特に320℃以上の留分になると顕著となる。 ジベンゾチオフェンと呼ばれる5員環の硫黄化合物はこの沸点あたりから増え始め,難脱硫性化合物の4,6-DMDBT (ジメチルジベンゾチオフェン)順次増えてくる。 したがって,超深度脱硫をするに際しては,軽質軽油留分と重質軽油留分に分けて別々に脱硫をし,後混合する方法もある。 しかし,高温での重質軽油留分の脱硫は色相が悪くなるので,マイルドな水素化条件でお色直しをする必要性も出てくる。 (注)* これらの原油の硫黄分はAPI度により,原油の硫黄分(wt%)= K ×(45−API度)として表示できる。 Aグループに関しては,K = 0.16であり,BグループはK = 0.08,CグループはK = 0.01が適切である。少し例示してみよう。 なお,( )内は文献値である。 Aグループでは,34°AL(Arabian Light)原油:1.8(1.7),28°AH(Arabian Heavy)原油:12.7(2.8), 33°エジプト原油:1.9(1.4)。BグループのベネズエラBCF 17°原油:2.2(2.3),および39°リビア原油:0.5(0.4)。 Cグループは,勝利原油(中国)および2,3のアメリカ原油を除いて,いずれの原油も0.4 wt%以下であり一致している。 |
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原油(その3.統計と将来予測)
1859年のドレーク井による石油初掘削以来,人類は2001年末までに焼く9000億bblの石油を消費し,
2001年末のOil & Gas Journalによれば,現在の原油確認埋蔵量は1兆bbl余りと報告している。
この1兆bblという数値はOPECが意図的に増やした1989年以来続いており,また生産量は毎年240億bbl前後で推移し,
可採年数は40年余りとなっている。 確認埋蔵量の内訳は,OPECトータルが80%で,サウジ25%,イラク・UAE・クウェート・イランが各10%, ベネズエラおよびその他のOPECを合わせて15%である。 非OPECの方は20%で,旧ソ連・東欧6%,メキシコ・中国・アメリカがそれぞれ2〜3%,その他7%となっている。 生産量は,埋蔵量の比率とは逆にOPEC40%,非OPEC60%で推移してきた。一方,消費量に関しては最近の10年間,アメリカ25%, ドイツ・フランス・イタリア・イギリス小計13%,旧ソ連6%,日本8%,日本を除くアジア18%で推移している。 将来予測は,IEA(国際エネルギー機関)によると2010年の全世界の石油消費量は,2001年消費量の1.3倍の340億bbl, 2020年には1.6倍の400億bblと推定している。 2020年の消費について,大きな変化は日本を除くアジアで起こり,現在の2.4倍の110億bblとなり,世界の28%を消費するようになる。 このうち中国が40億bblで,世界の10%を占める。日本の割合は環境対応努力をすれば,現在の7%から5%になる。 すなわち,2020年までの18年間で人類は6000億bblを消費することになり, 2001年末までの消費分9000億bblと合計すると1.5兆bblで,従来いわれてきた究極埋蔵量2.5兆bblとの差は1兆bblとなる。 そして近い将来,在来型石油に頼るだけでは難しくなり,非在来型石油の登場が必須となる。 |
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